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返還 (repatriation) [総論]

「議案第246号 「大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続き等に関する調査研究」について
佐藤理事から、①文部科学省学術機関課より、大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた手続き等において、副葬品を含むアイヌ遺骨の発掘・調査研究・保管に関係する学会の一つとして、意見交換を求められていることが説明され、担当として佐藤理事・大谷理事を選出し、承認した。②政府の「アイヌ政策推進会議」から、「大学等が所蔵する個人が特定されていないアイヌ人骨と副葬品」を集約し慰霊の場とする「民族共生の象徴となる空間(象徴空間)」の北海道白老町への建設について、作業部会への出席、並びに考古学からみたアイヌ遺骨の返還管理について意見を要請されていることが説明され、意見表明案が提示された。審議の結果、原案の内容で、語句等を一部修正の上、意見表明することを承認した。」(日本考古学協会 2015年1月理事会議事録『日本考古学協会会報』No.184:31.)

「事案はユネスコの条約等の国政レベルにおよぶものであり、所有権が絡んでくるデリケートな問題でもあるので、理事会では継続審議と回答した。こうした経緯を踏まえ、理事会でも慎重に進めていくとの説明があった。(中略)この報告に対して、東京都の五十嵐彰会員から、理事会で総会の審議事項として取上げないとした理由が国政レベルの事案であるとの記載があるが、国政レベルの事案とは何かとの説明が求められた。
これに対して、田中理事が、国政レベルというより、厳密にいうと、国家間のレベルの問題であり、ユネスコの「文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約」に則って、外交によって問題を解決する重要性を説明した。五十嵐会員からは、文化財返還問題は外交及び国際的な問題だけではなく、国内問題で、アイヌ民族の人たちに対する返還問題でもあると考えているとの反論があった。田中理事からは、この要望は理事会で決定したものではなく検討事項になっていると説明し、その点を含めて時間をかける必要があると説明した。」(日本考古学協会2013年5月第79回総会(抄録)『日本考古学協会会報』No.179:6.)

「国政レベル」「国家間のレベルの問題」「継続審議」「慎重に進めていく」「時間をかける必要がある」として問題提起から5年、文部科学省からは「意見交換を求められ」、政府からは「意見を要請されている」事態となった。

「次に田中理事から、昨年度の五十嵐彰会員からの要望について経過報告があった。理事会としては、同会員との面談内容を検討し、情報収集を含めた勉強会を2014年度に発足して対応するとの報告があった。」(日本考古学協会2014年5月第80回総会(抄録)『日本考古学協会会報』No.182:7.)

「2014年度」というのは、あと3週間ほどで終了するので、それまでに考古資料の返還問題に関する「勉強会」というものが「発足」するのだろう。
考古学という学問の本質が問われている訳である。
まさか政府に対する「意見表明」には、「過去の歴史的事実を研究することは可能であるが、様々な現代政治的問題が絡むことや」(日本考古学協会2010年5月理事会議案第30号『日本考古学協会会報』N0.170:79.)「一学会が扱うべき事案ではなく」(日本考古学協会2010年9月理事会報告第67号『日本考古学協会会報』No.171:19.)などといった文言が記されることはないだろうと信じるのだが。
それにしても、返還問題を総会の審議事項にするようにとの学会員からの要望については「現代政治的問題が絡むこと」を理由に却下しておきながら、正に現代政治そのものである政府からの要請には時間をかけたり慎重に進めずに即座に対応するというチグハグさを、日本考古学協会の理事会は会員にどのように説明するのだろうか?
場当たり的ではない、深い思想と倫理観に基づいた「意見表明」が求められている所以である。

4年目の記念日である。
4年の間に、何がなされて、何がなされなかったのか。
溶け落ちた燃料の具体的な取り出し方法すら、未だ決まっていない。


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