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石器をどうやって数えるか? [石器研究]

本日、同名の題名で、所内の自主サークルにて発表した。
【内容】
 1.赤星2015附表の信頼性について
 2.どうしてこのようなことになってしまうのか?
 3.不可算名詞(uncountable nouns)としての石器

元ネタは、14年前に発表した(五十嵐2002c「石器資料の基礎的認識と最小個体数」)。 
「個別の考古誌(遺跡調査報告書)にもあるいは石器研究の入門書にも、石器資料に関する計測の項目はあるが、計数の項目は見当たらない。(略)石器について個体数に関する議論がなされていないのは、石器の個体数概念(何をもって一個体の石器とみなすのか)について自明である、との前提が作用しているものと思われる。」(同:29-31.)

本ブログでも、4年前に取り上げた(「1個の石器とは」【2012-0126】)。
「ある石器をハンマーで叩いて10個の破片に砕け散ったら、10個の石器になるのだろうか?
 ある土器の破片が10個あり一個体の土器に復元されて、それを10個の土器とする考古学者はいないだろう。」(一部改変)


英語の不可算名詞(uncoutable nouns)には、大きく物質名詞(mateial nouns)、抽象名詞(abstract nouns)、集合名詞(collective nouns)がある。皆さん、受験勉強などでやられたことだろう。
不可算名詞のうち抽象名詞(silence, pleasureなど)、集合名詞(stationery, clothingなど)についてはいいだろう。
考古学的に問題なのは、物質名詞についてである。

液体(water, wineなど)、流体(clay, honeyなど)、粉末(sawdust, soilなど)まではいいだろう。
問題なのは、変形する固体である。
バター(butter)やチーズ(cheese)は、どうだろうか?
バターは常に不可算(U)で、チーズなどは商品の場合は可算(C)とこれは少し分かりにくい。
氷(ice)は、どうだろうか? アイスクリームなどの意を除いて基本的に(a piece of ice: U)で不可算。
チョーク(chalk)も、(a piece of chalk: U)で不可算。
石鹸(soap)は、どうだろうか? 粉末や液体でない固形石鹸は(a cake of soap: U)で不可算。
消しゴム(eraser)は、厄介だ。なぜならeraserで「消しゴム」だけでなく「黒板消し」まで意味するから。
限定的な用語(rubber)にしても、素材としてのゴムは(U)だが、輪ゴム(rubber band)や消しゴムは(C)というのはちょっといただけない。
それでは、本命の石(stone)は、どうだろうか?
素材としての石は勿論(U)で、手に持って投げられる小石は(C)。
私としては、縮小変形(reduction)を宿命とする石器(stone artifact)は(U)としたい。
例えば砥石(whetstone)についても、英語学的には可算(C)であるが、考古学的には不可算(U)だ。

「砥石など使用過程において形状が変化する種別については、個体数をカウントしていない。」(五十嵐2009『愛宕下遺跡Ⅰ』第1分冊:10.)
「カウントしていない」というより「カウントできない」とすべきであろう。 

Stone artifact is uncountable.

尖頭器も石核もリダクション原理に従う考古資料は、全て不可算(U)である。
だから数え方をよく考えなければならないのだ。もちろん考古学的に。
そしてもう一つ、考古学的に不可算である重要な概念、それが集合名詞としての<遺跡>である。


タグ:石器 計数
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