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石器をどうやって数えるか? [石器研究]

本日、同名の題名で、所内の自主サークルにて発表した。
【内容】
 1.赤星2015附表の信頼性について
 2.どうしてこのようなことになってしまうのか?
 3.不可算名詞(uncountable nouns)としての石器

元ネタは、14年前に発表した(五十嵐2002c「石器資料の基礎的認識と最小個体数」)。 
「個別の考古誌(遺跡調査報告書)にもあるいは石器研究の入門書にも、石器資料に関する計測の項目はあるが、計数の項目は見当たらない。(略)石器について個体数に関する議論がなされていないのは、石器の個体数概念(何をもって一個体の石器とみなすのか)について自明である、との前提が作用しているものと思われる。」(同:29-31.)

本ブログでも、4年前に取り上げた(「1個の石器とは」【2012-0126】)。
「ある石器をハンマーで叩いて10個の破片に砕け散ったら、10個の石器になるのだろうか?
 ある土器の破片が10個あり一個体の土器に復元されて、それを10個の土器とする考古学者はいないだろう。」(一部改変)

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タグ:石器 計数

石器実測図 [石器研究]

ここのところ毎日、石器のトレースをしている。
だから… 

「剥離面の形は、剥離順の新しい剥離面の外郭から作図する。
リングは、剥離順序の新しい剥離面では稜線に対し鋭角に収束させ、剥離順序の古い剥離面では鈍角に収束させる。剥離面の末端部分はリングの間隔を狭めるが、剥離面末端が接する他の剥離面に切られる場合は間隔を狭めない。
剥離順が新しい側の剥離面の縁辺には、肉眼では確認できなくても稜線から打点方向へフィッシャーを描き、剥離順が古い側の剥離面の縁辺には、原則としてフィッシャーは描かない。」(鈴木 美保2015「Ⅱ本巻の構成 3石器実測図の表現」『下原・富士見町遺跡Ⅲ 後期旧石器時代の発掘調査(3)出土石器』学校法人明治大学:49.)

石器実測図における一つの表現要素(リング)に関する記述である。
この後、細粒なホルンフェルス・安山岩については「リングはところどころ途切れ、粒状の夾雑物に一旦、収束する」、粗粒なホルンフェルス・安山岩については「リングの途切れ、破線などで剥離面のザラツキを表現する」といった石材別、石質別の詳細な描き分けの記述となっていく。

しかし石器実測図において、より重要な描き分けが抜け落ちてやしないか。

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砂川闘争 [石器研究]

一つの帰結である。

「出土した石器はすべて石材分類を行い、接合作業を通して、さらに母岩分類を行うという、旧石器時代の慣用的な整理作業の工程をふまえて作業にあたった。ただし、接合作業については、器種分類同様、出土資料を帰属集中部、出土層位といった情報から切り離し、同じ石材に分類した全点の出土石器を対象として行った。その結果、1368個体もの接合個体を得たが、同時に母岩分類における問題点も見出すこととなった。
接合個体を単位に母岩分類を設定していく過程で、例えば、原礫面の残置状況などから明らかに異なる母岩になると推定される接合個体同士を構成する剥片類などの石質を、肉眼観察ではどうしても分離することができない資料が頁岩、チャートを中心に多数存在することが判明したのである。
(中略)
そこで、従来の母岩の概念とは一致しないが、接合作業の工程上は同様の意味を持つまとまりとして、石質細分という用語を用いることとした。
石質細分という用語を用いる理由には、石材をさらに石質によって細分したという一般的な意味もあるが、石材の下位に複数の石質細分を統合した「石質」という分類階層を設けたためである。」(鈴木 美保2015「本巻の構成」『下原・富士見町遺跡Ⅲ 後期旧石器時代の発掘調査(3)出土石器』明治大学校地内遺跡調査団調査報告書7:36.)

言わば「オヒザモト」での帰結であるが、ある意味で「トーゼン」の帰結である。
発端は、今を去ること23年前のことであった。

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1個の石器とは [石器研究]

「1個の石器は1個の石器であり、1個の貨幣は1個の貨幣であるということには何の問題もない。」(オルトン,C.(小沢・及川訳)1987『数理考古学入門』雄山閣:171.)
という文章を引用して、「本当に石器と貨幣を同列に論じることができるのか」という考古資料の個体数算定に関する疑問を提出し、石器の最小個体数(MNI)と階層的石器体系について発表したのは、今から10年前のことになる(五十嵐2002「石器資料の基礎的認識と最小個体数(MNI)」『日本考古学協会第68回総会 研究発表要旨』:29-32.)。

ところが10年が経過しても、事態は一向に改善の兆しを見せない。

例えば、

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タグ:個体数算定

「黒曜石考古学」(続き) [石器研究]

慶應義塾湘南藤沢キャンパス内遺跡第5文化層出土資料2034点の内、黒曜石資料は2015点、蛍光X線分析法による原産地推定は、分析資料188点の内、箱根畑宿産174点・信州系11点・伊豆柏峠産3点となった。

「本石器群においては箱根畑宿産が主体を占め、伊豆柏峠産黒曜石は距離的に近い箱根畑宿産黒曜石とは異なり、遠距離に位置する信州系黒曜石とほぼ同じ様な状況で遺跡内に遺存していたことが明らかにされた。今後は、鍛冶屋産を含めた箱根系黒曜石と上多賀産を含めた伊豆系黒曜石といったより詳細な原産地同定とそれに応じた考古学的分析の進展により、箱根畑宿と伊豆柏峠の両原産地が関東地方を中心にした先史社会に果たしていた役割をより明らかにしていくことができる。(中略) 伊豆柏峠は信州系と同様に、非日常的な採取領域であったことが伺える。このことから先史社会における石器石材は、消費地遺跡と原産地との地理的な空間距離によってのみ規定されるものではなく、石材を必要とした集団が原産地へアプローチするのに際してどれだけ容易であったかという社会的な距離も作用していたことが推測される。」(五十嵐1993a「B2L層出土石器群(第Ⅴ文化層)を巡る諸問題」『慶應義塾湘南藤沢キャンパス内遺跡 第1巻 総論』:698.)

焦点は、伊豆柏峠産黒曜石の動向である。
こうした問題提起から16年後の今日、さて、その行方は。

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タグ:原産地

異層間接合 [石器研究]

「ローム層中の遺物は、拡散して分布しており、時に1m以上の深度幅をもって接合することもある。これをどのように分けてきたかについての問題は、五十嵐彰氏により明確に概念化されたが、野川遺跡の発掘以来、ローム層の調査者にとっては常に念頭にあった問題でもある。誰が行っても同じ結論になるような、文化層分離の手続きが、方法としてこれまで確立できなかったのは、本書で西井・小菅両氏が、遺跡によって拡散の度合いが異なることを指摘するように、遺跡ごとに埋没後変化や遺跡形成のプロセスに差があることが認識されながら、このことを分離の手続きにうまく反映できなかったことも理由のひとつに考えられる。」(下原裕司2008「新刊紹介 後期旧石器時代の成立と古環境復元」『東京の遺跡』第89号:1058.)

「理由のひとつ」? それでは、他の理由とは?
「文化層分離の手続きが、方法としてこれまで確立できなかったのは」、「遺跡によって拡散の度合いが異なる」とか「遺跡ごとに埋没後変化や遺跡形成のプロセスに差があること」を「分離の手続きにうまく反映できなかったこと」といった皮相的なことではなく、「ローム層」という自然層中に分布する資料群を区分した「旧石器的文化層」と人為層によって区分される「一般的文化層」という文化層概念の根本的な違いを認識することがなかったという根本的な理由による(五十嵐2000e「「文化層」概念の検討」)。

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剥片相対性特殊論 [石器研究]

かつて「剥離則」として二つの原則を提示したことがあった(五十嵐2004e「剥片剥離原理」『石器づくりの実験考古学』)。
剥離第1則:ポジ面を有する石器単位である剥片とネガ面を有する石器単位である石核は、同時に生成する。
剥離第2則:重複して接合する剥片の生成には、時間差が存在する。

そして話しは、基本接合式、階層則、不在則と続く。
5年前の発表後に行われた懇親会の席上では、熱力学の法則に匹敵するものとして、大見得を切ったのだが。

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日本旧石器時代研究の現状と課題(続) [石器研究]

安蒜2007において「早急な見直しを要する根本的な課題」として提示された日本旧石器時代研究の二つの問題、①「石器の編年研究」、「層位と石器群の問題」、「一石器群の完全分離・抽出」すなわち「文化層」問題、②「遺跡の構造研究」、「石器群を石器作りの単位に区分」すなわち「母岩識別」問題について、関連する団体あるいは人々は、どのような対応を示しているだろうか。

内容的にそして時間的に最も近いイベントは、6月23日・24日に開催される「第5回日本旧石器学会総会・研究発表・シンポジウム」である。しかるにそこで予定されている記念講演・一般研究発表・シンポジウム発表の何れの題目を見ても、安蒜2007提言に呼応するものは見当たらない。
それよりも何よりも、当の安蒜2007が発表された「日本考古学協会第73回総会テーマ・セッション『日本旧石器時代文化のはじまりと特質』第1部:日本旧石器時代の起源 第2部:東アジアの旧石器時代と日本列島」において、日本旧石器時代研究における「早急な見直しを要する根本的な課題」に正面から答える発表は見当たらないし、そもそも設定テーマ自体が「かすりもしない」というのは、いったいどういうことだろうか。

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日本旧石器時代研究の現状と課題 [石器研究]

このような題を付した講演がなされ、文章が発表された(安蒜政雄2007「日本旧石器時代研究の現状と課題」『有限責任中間法人 日本考古学協会第73回総会 研究発表要旨』:10-11.)。
1.日本旧石器時代研究の歩み 2.旧石器時代研究の新体制と課題 という2部構成である。
果たして2007年の「日本旧石器時代研究の現状と課題」は、どのように認識されているだろうか。

「現在、捏造事件に見舞われた旧石器時代の研究は、体制の立て直しに迫られている。新体制の構築に臨み、いま、旧体制を支えてきた研究の基盤が見直されると同時に、いくつもの脆弱さが洗い出されつつある。」(同:11.)

「立て直しに迫られ」「見直される」と表現された「旧石器時代の研究」「旧体制を支えてきた研究の基盤」とは、具体的にどのようなものなのだろうか。それは、前半に記された研究史の冒頭箇所にて明言されている。

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ヴィーナスの呪い [石器研究]

「ヴィーナス・ライン う″ぃーなす・らいん Venus line ヴィーナス曲線ともいう。礫群と石製遺物との出土深度の関係を分布曲線にあらわしたもの。神奈川県月見野遺跡群の調査で最初に注目された。礫群周辺の石製遺物の出土レベルを数量ごとに垂直分布図に表した場合、石製遺物は礫群の下面から5~10cm上に出土量のピークが認められるのに対し、礫群の下方では急速に減少する。こうした出土量と出土レベルの関係が図上では特徴的な曲線で示されるので「月見野ヴィーナス曲線」と呼称された。1つの生活面に残された石製遺物が特定のレベルに集中する現象は一般的なもので、複数の集中部の分離や生活面の判定に有効な手段となる。」
(絹川一徳2000「ヴィーナス・ライン」『旧石器考古学辞典』:11-12.)

 「ヴィーナス・ライン」で検索かけても、「信州ビーナスライン」とかエステ関連商品などしか引っ掛からないのだが・・・
これは、本当に正式のそして公認の「学術用語」(techinical term)なのだろうか?
個人的には、到底、承認し難いのだが・・・

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