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五十嵐2019b「考古学における解釈のあり方について」 [拙文自評]

五十嵐 2019b 「考古学における解釈のあり方について -緑川東を読み解くために-」『考古学ジャーナル』第728号、特集 縄文人の心性と世界観:5-8.

初『ジャーナル』である。編集部にお願いして、何とか恥かしい写真の掲載だけは回避させてもらった。
名前のローマ字表記については、文科省の通達を添えて編集部に変更を依頼したのだが、受け入れてもらえなかった。早急な検討を望む。

「今回は緑川東の大形石棒を事例として、その解釈のあり方について時間論・部材論・ジェンダー論という3つの観点から確認する。」(5.)

2016年から引きずっている「緑川東問題」に関する2019年時点での総括である。
以前より緑川東問題について構想していた時間論・部材論・ジェンダー論を示したベン図を提示することができただけで満足である。

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世界史の中の文化財返還問題を考える [研究集会]

公開シンポジウム 世界史の中の文化財返還問題を考える -2018フランス政府報告書と対馬仏像返還問題を中心に-

日時:2019年6月15日(土)13:00-17:20
場所:大阪経済法科大学 東京麻布台セミナーハウス 2F 大研修室
主催:韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議

「昨年11月にフランス政府が発表したアフリカ旧植民地への文化財返還を打ち出した報告書は、内外に衝撃を与えました。ドイツやオランダでも連動した動きが見られます。他方、東アジアとりわけ日本では、文化財返還問題への理解が乏しく、日韓では深刻な葛藤が続いています。打開の道を識者とともに考えます。」(主催者案内チラシより)

第1部 13:40-14:40 フランス政府報告書について
 2018フランス政府報告書についての考察 -フランスのアフリカ文化財返還政策の意義と課題-(森本 和男)
第2部 14:50-17:00 対馬盗難仏像返還問題について
 ① 対馬から見た仏像盗難問題の歴史的背景(俵 寛司)
 ② 釜山から見た対馬仏像盗難問題(廣瀬 雄一)
 ③ 国際法から見た仏像盗難問題(戸塚 悦郎)
第3部 17:00-17:15 訪朝報告(五十嵐 彰)

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尾田2019「武蔵野台地における後期旧石器時代初頭の編年と行動論」 [論文時評]

尾田 識好 2019 「武蔵野台地における後期旧石器時代初頭の編年と行動論 -武蔵台遺跡の分析を中心に-」『旧石器研究』第15号:107-122.

「本稿では、武蔵台遺跡療育センター地点から出土した資料を分析対象に取り上げ、遺跡形成過程を分析し、その結果を踏まえて立川ロームⅩ層の石器群が層位的・編年的に区分しうることをあらためて確認した。そして、それらの石器技術と居住形態が、武蔵野台地と周辺の資源環境や集団間関係に応じて変化した可能性を指摘した。」(119.)

「区分しうること」の根拠は2点、ファブリック解析とサイズ・ソーティングの検討である。
前者のファブリック解析では「ブロック1・2と周辺」出土の35点の分析試料を出土標高の中央値で「下位試料群」(16点)と「上位試料群」(19点)に区分して、シュミットダイアグラムなどの分析結果が示され「ファブリック解析の結果のみでは、上位と下位の試料群を分離できるかどうか、評価は難しい」(115.)とされた。

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オーウェル(高橋訳)2009『1984年』 [全方位書評]

ジョージ・オーウェル(高橋 和久 訳)2009『1984年 [新訳本]』早川書房6494
George Orwell "NINETEEN EIGHTY-FOUR"

行く前は、どこかにあるだろう仮想社会(ディストピア)を描いた近未来小説の一つぐらいに考えていた。
帰ってからは、ここで描かれた社会が現にすぐ近くに存在していることに深く胸が塞がる思いである。

「彼はいっときも眠らずに聞き耳を立てているテレスクリーンのことを考えた。かれらの監視は昼となく夜となく続いているが、取り乱すことなく冷静さを忘れずにいれば、出し抜くことができるだろう。その抜け目のない賢さをもってしてもなお、かれらは他人の頭のなかを覗きこむ術を見つけるには至っていない。実際に、かれらの手に落ちてしまったら、そうとは言い切れないのかもしれない。愛情省の内部で何が起きているのか、誰も知らないのだ。」(257.)

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御堂島・堤2019「石器痕跡分析の有効性」 [論文時評]

御堂島 正・堤 隆 2019 「石器痕跡分析の有効性 -ブラインドテストによる検証-」『旧石器研究』第15号:69-90.

「ブラインドテストは、既知の試料に対してどの程度正しく推定できるかという分析能力を評価するものであるが、同時に問題点を明らかにし、方法的改善を図るための強力な手段となるものであるとされる(Evans 2014)。実験痕跡研究の枠組みを示した五十嵐(2001)もブラインドテストの重要性を指摘している。一方でその必要性を認めない見解もある。大場(2015, 2016)は、ブラインドテストで「問題になるのは正答率であり、方法は検証されない」(大場2015:112頁)とし、その理由として、ブラインドテストには不正が行われたのではないかという疑念が生じるため、その検証が必要になり、さらにその検証にも疑念が生じる、というように疑念と検証が果てしなく続くことを挙げている(大場2016:註3)。研究不正は倫理の問題であり、どのような研究にも起こり得るものであって、ブラインドテストに固有のものではない。」(70.)

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小泉1986『朝鮮古代遺跡の遍歴』 [全方位書評]

小泉 顕夫 1986 『朝鮮古代遺跡の遍歴 -発掘調査三十年の回想-』六興出版

「大正十一年私が朝鮮総督府博物館に就職が決まった時、浜田耕作先生は、朝鮮の博物館や古跡調査に当るに際し、いつ、いかなることで朝鮮が日本の手を離れることになっても、学者として、日本人として恥しくないように心掛けねばならないとさとされた。まさにそうした事態が、こんなに早くやって来ようとは、当時先生は予測されなかっただろうが、私は最後の日まで先生の教えを守り、朝鮮の文化財を護り続けたつもりでいる。これは私だけではなく藤田亮策氏を始め、すべての同僚も同じで、有光教一氏のごときは、私同様にすべての人が引き揚げてもなお一年近くも朝鮮に踏み止まり、発掘調査の指導まで済ませて引き揚げたのである。
丸裸で引き揚げて来た私は、幸いに家屋敷や多少の土地もあり、生活に困ることはなかったが、書物や資料を無くしてしまった身では、木から落ちた猿同然で、田舎にある土地を開いて農場でも造ろうと決意した時、今さら百姓の真似事でもあるまいと、古い友人の斡旋と黒田源治館長の奔走で、奈良国立博物館に私のために普及課を新設し、課長として迎え入れてくれ、再び研究生活に戻ることが出来た。それから三十五年が過ぎ、今では崇神陵の傍らで余生を送っている。」(あとがき:385.)

日本人考古学者が90歳近くになって植民地朝鮮における経験をまとめた回想録である。

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梅原・藤田編著 1946-1966『朝鮮古文化綜鑑』 [全方位書評]

梅原 末治・藤田 亮策 編著 1946-1966『朝鮮古文化綜鑑』第1巻~第4巻、養徳社

「東亜の考古學乃至古文化の研究の上に大きな寄與をなした朝鮮半島に於ける古代遺物遺蹟の調査事業に就いては、當初主として事に當られた故関野貞博士の執筆に係る諸論文を首として、朝鮮総督府から年々刊行の調査報告や特別報告其他種々の印刷物に依り、その成果が公にせられて、各方面に基本的な資料を提供してゐるのは周知のことである。たゞし前後三十餘年に亙つて行はれた本事業の齎した個々のそれ等に就いての権威ある總括的な刊行物に至つては、前半に於ける『朝鮮古蹟図譜』を外にして、なほ見る可きものがないばかりでなく、調査報告の類に至つても諸種の特殊事情に加へるに、時局の影響などにも禍されて、後半に入つては刊行されたものがまことに寥々としてゐて、為に近年續出した重要な遺物遺蹟の如き、一部関係者を除いて殆んど學界に知られてゐないと云ふのが眞の實状である。これは文物の性質の上から観て遺憾至極なことであつて吾々の様に二十餘年来調査に関與した者にとつては、省みてそれについての責を感ぜざるを得ないものがある。」(第1巻:1.)

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五十嵐2019a「旧石器接合個体2例」 [拙文自評]

五十嵐 2019a 「旧石器接合個体2例 -練馬区比丘尼橋遺跡C地点-」『研究論集』第33号、東京都埋蔵文化財センター:83-90.

現在整理作業中の練馬区比丘尼橋遺跡C地点の接合個体の一部を紹介した7頁ほどの「資料紹介」である。
2019年3月の時点で365個体の接合資料が得られているが、その中から注目すべき2例を紹介した。

1つ目は、Ⅳ層から出土した斧形石器に関連する接合個体である。斧形石器と言えば、前半期(Ⅹ層からⅨ層、せいぜいⅦ層)と相場が決まっているのに、これは後半期のⅣ層、それも平坦な裏面に接合する小形調整剥片が3枚、更に表面に残る礫面を除去しようと企図した裏面からの剥離によって意図しない末端肥厚剥片(ウートラパッセ)が生じて、器体の大半を損壊し破棄されたという「レア」ものである。
「アチャー」という旧石器人の悲嘆が、ビシビシと伝わってくる資料である。
実は本稿の挿図のために苦労して接合状態の実測図を仕上げた後に、表面に更に1枚調整剥片が接合することが判明したが、既に間に合わず。
「つきました!!」と嬉しそうに報告してくれる作業員の方に対して、実測・トレースをやり直さなければという思いが頭を駆け巡りつつ、「よかった!!」と心中とは相反する笑みを浮かべつつ応対する複雑な心境。

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タグ:旧石器 接合
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松島・木村編著2019『大学による盗骨』 [全方位書評]

松島 泰勝・木村 朗 編著 2019 『大学による盗骨 -研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨-』耕文社

序言(3-8)は、一般財団法人 東アジア共同体研究所理事長という肩書の鳩山 友紀夫(由紀夫)である。

「私は2009年の所信表明演説において、「すべての人々が偏見から解放され、分け隔てなく参加できる社会、先住民族であるアイヌの方々の歴史や文化を尊重するなど、多文化が共生し、誰もが尊厳を持って、生き生きと暮らせる社会を実現することが、私の進める友愛政治の目標となります」と述べました。私は今、この演説には二点が欠けていたことを実感しています。一つはアイヌ民族だけでなく、琉球人も先住民族として加えていなければならなかったこと、二つめは尊厳を持って生き生きと暮らせる社会に留まらず、死してもなお尊厳を持って遇される社会を実現しなければならないことです。」(6.)

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加藤2018「先住民族の遺骨返還」 [論文時評]

加藤 博文 2018 「先住民族の遺骨返還 -先住民考古学としての海外の取り組み-」『先住民考古学シリーズ』第1集、北海道大学アイヌ・先住民研究センター先住民考古学研究室:1-71.

「本小論は、先住民族の文化遺産の返還の世界的な動向について、各国における事例を参照しながら、具体的な取組みの過程において確認された先住民族文化遺産をめぐる各国の法制度との関係性、返還過程において明らかとなった課題点を整理することを目指したものである。数世紀にわたり収集されてきた先住民族の文化遺産には、日用品から儀礼用具、そして先住民族の遺骨までが含まれている。本小論では、その中でも、とりわけ先住民族の祖先の遺骨や、それに関わる副葬品の返還を巡る取り組みと課題に焦点を当てた。その理由としては、21世紀に入り日本においても先住民族アイヌ自身による祖先の遺骨返還を求める動きが改めて訴訟も含めて顕在化してきていることがある。また過去の日本の大学研究機関によって研究目的で収集され、保管されてきたアイヌ民族の祖先の遺骨の今後の取り扱いについても早急に検討する必要が生じているためである。そしてなによりも、発掘調査において墓や遺骨の発掘に関わる考古学者や、出土人骨の分析に関わる生物考古学者(自然人類学者)にとって、国際的な動向を理解し、問題の所在と研究者の果たすべき責任を明確に自覚し、これからの日本における取り組みを真摯に検討することが急務と考えるためである。」(前言)

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考闘委1971『全国通信』第3号 [全方位書評]

全国考古学闘争委員会連合1971『全国通信』関東考古学学生連絡協議会編集局

「5・15関考協討論集会報告」(5・15討論集会実行委員会):1-4.

「5・15関考協討論集会は、5月3~4~5日にわたって展開された日本考古学協会解体闘争の地平をふまえて現在的な闘争を展望すべく設定されたものである。討論は文化財問題を含めた協会解体闘争の再度の位置付の確認から開始された。
その発足時より権力に保証された半封建的機構として無媒介的に存立していた日本考古学協会は、69年10月25日協会闘争・文化財破壊等を契機、媒介とし『研究者意識』を唯一その基盤においたブルジョワ利害関係から少数ボス支配=中央集権の解体、研究者の地域的分散化といった一定程度の流動化をみせている。
それは、日共=文全協一派を頂点とする部分による「社会的責任の遂行」といった欺瞞的近代化路線(改革原案の提出-採択)の推進であり一方、右翼反動による積年の「発掘公団構想」の実体化である。その内実は、日共=文全協の文化財保存運動を票田化という日共集約に向けた国民運動路線の一環として位置付け、純学問的研究を保証する考古学界のヘゲモニー掌握とを二重写しにした所の日共文化運動のブルジョワ改良主義の一環としてある飛鳥保存・風土記の丘構想・国立民族歴史博物館構想のまえに運動実体として包括されてしまっている。右翼反動の権力との同化はいうまでもない。しかしこの中にあって動揺をみせている地方研究者・研究団体の動きを見落とすことはできない。

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小田2018「骨から人へ」 [論文時評]

小田 博志 2018 「骨から人へ -あるアイヌ遺骨のrepatriationと再人間化-」『北方人文研究』第11号、北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター10周年記念特集号:73-94.

「RV33」という符号が書き込まれたアイヌ頭骨が長年ベルリンで収蔵されていた。「ルドルフ・ヴィルヒョウ・コレクション」という有名な人類学者の名前を冠した資料として「ベルリン人類学・民族学・先史学協会(BGAEU)」が管理していた。この遺骨は1879年にゲオルク・シュレージンガーというドイツ人によって札幌の墓地から持ち去られたものだった。以下は、ベルリン人類学・民族学・先史学協会の例会でシュレージンガーが行なった発表要旨の一部である。

「地表から約1.5フィート(45cm)下に、二人の遺体を示す多くの骨を私たちは見つけました。しかし、冒涜的な行為をしていると思われるおそれがあったので、私たちには夜の闇の中で急いでこの頭骨を入手するのがやっとでした。(Schlesinger,G. 1880 Fundberiht Uber der Ausgrabung eines Ainoschadels auf Yezo. Zeitschrift fur Ethnologie -Verhandungen der BGAEU:207)」(筆者訳:75.)

「思われる」とか「おそれがある」といった曖昧なものではなく、「冒涜的な行為」そのものであることは人目をはばかって夜間に掘り出した自らの行為が明瞭に語っている。
「RV33」は、多くの関係者の努力によって2017年に北海道に「帰還」した。

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フェイガン2019『若い読者のための考古学史』 [全方位書評]

ブライアン・フェイガン(広瀬 恭子訳)2019『若い読者のための考古学史』すばる舎
(BRIAN FAGAN 2018 A LITTLE HISTORY OF ARCHAEOLOGY. Yale University Press Little Histories.)

オーブリー、ヴィンケルマン、ベルツォーニ、シャンポリオン、ウィルキンソン、ボッタ、レイヤード、ローリンソン、ラッサム、スミス、スティーヴンズ、キャザウッド、フレア、スミス、ライエル、マケナリー、ペルト、ダーウィン、ハクスリー、デュボワ、スペンサー、タイラー、トムセン、ヴォルソー、スティーンストロプ、ラルテ、クリスティ、モルティエ、ケラー、ラムザウアー、モンテリウス、スクワイヤ、トマス、バンデリア、クッシング、ヒューイット、サウトゥオラ、カルタイヤック、ブルイエ、ブレーク、シュリーマン、レプシウス、コンツェ、クルツィウス、リヴァース、ピートリー、エヴァンズ、ベル、ホーズ、コルデヴァイ、アンドレ、ホガース、ウーリー、カーター、ハーバート、マッキーヴァ―、トンプソン、スタイン、チャイルド、ウーレ、キダー、ダグラス、ウィーラー、スチュワード、ウィリー、ジェニングズ、グリフィン、リビー、クラーク、ダート、リーキー、リーキー、ブレイドウッド、ケニヨン、バス、ヒューム、ケルソー、アルバ、チャベス、メラート、ホッダー、ステュークリー、ポティエ、フレッチャー、エヴァンズ、シーツ
*目次で「その章でとりあげるおもな登場人物」と記された人名リスト

半分も知らない。「若い読者」だけでなく「年取った読者」のためにも必読である。当然のことながら日本人はいない。

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大矢2017「児玉コレクションの収集経過とその周辺」 [論文時評]

大矢 京右 2017 「児玉コレクションの収集経過とその周辺」『市立函館博物館 研究紀要』第27号:1-40.

「本稿は、函館博物館所蔵児玉コレクションの学術的な位置づけを明確にするとともに、今後の利活用に資するため、収集の背景となる児玉作左衛門のライフヒストリーおよび児玉コレクションの成り立ちやその構成内容、そして函館博物館への寄託・寄贈経緯や管理状況等について、函館博物館で保管されている公文書類などの簿書や児玉家所蔵資料の調査、さらに文献の調査およびフィールドワーク、そして関係者への聞き取り調査などをとおして判明した事実について紹介するものである。」(1.)

今まで個別の目録などでその一部を知ることができたが、その収集経緯・構成内容・現状などの総体が初めてまとめられた。コレクションの今後の取り扱いすなわち「返すべきものを返す」作業に先だって、欠かせない重要な成果である。

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米村編1949『北海道先史学十二講』 [全方位書評]

米村 喜男衛 編1949『北海道先史学十二講』北方書院

考古學の意義(駒井 和愛:7-17.)
考古學と美術(関野 雄:19-30.)
北海道の先史時代(河野 廣道:31-43.)
貝塚と骨角器(大場 利夫:45-63.)
考古學研究の實例(米村 喜男衛:65-83.)
言語と文化史(知里 眞志保:85-93.)
北海道の住居趾(名取 武光:95-101.)
北海道の先住民族(児玉 作左衛門:103-115.)
國史と考古學(斉藤 忠:117-126.)
北海道史について(高倉 新一郎127-142.)
モヨロ貝塚人(伊藤 昌一:143-152.)
考古學雑感(原田 淑人:153-157.)
モヨロ貝塚を探る -モヨロ貝塚調査團員座談會-(伊藤・大場・河野・児玉・駒井・関野・米村:159-174.)

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男性・男性性の批判的研究 [論文時評]

最新のジェンダー研究は、CSMM(Critical Studies on Men and Masculinities:男性及び男性性に関する批判的研究)である。
マスキュリニティ(男性性)については、1年ほど前に紹介した【2017-12-16】。
「男性性」とは「男らしさ」といった意味であり、こなれない訳語である。
『現代思想』の最新号が「男性学の現在 -<男>というジェンダーのゆくえ-」という特集で、最近の動向をまとめている。
特にスティーヴ・ガーリック(清水 知子訳)「自然の再来 -フェミニズム、覇権的男性性、新しい唯物論-」:180-201.が、CSMMと新しい唯物論の相互関係について学ぶところが多い。

「今日の重要な論点は新しい唯物論の理論を男性性研究のなかにどう組み込むかということだ。このようなプロジェクトはCSMMと現代のフェミニズム理論の関係を再検討する機会を提供し、とくに両方の作業体系における自然の位置づけについて考える機会をもたらしている。新しい唯物論は社会構築主義という強固な形式との関係を断ち切りながら、ポスト構造主義理論の洞察を組み込んでおり、CSMMにおける強力な唯物論の伝統とフェミニズム唯物論との結びつきを強化する手段を提示している。」(181.)

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山本2019『住居の廃絶と儀礼行為』 [全方位書評]

山本 暉久 2019『住居の廃絶と儀礼行為』六一書房

「緑川東問題2019(その1)」でもある。

「ここで五十嵐彰の見解について触れてみる。五十嵐は自身のブログを含めてこの問題についてこれまで多数論じてきている。その論点は、「石棒が置かれていた場所には石棒設置以前に敷石が存在し、石棒を設置する際に敷石が「取り除かれた」とする根拠は、何だろう?」(五十嵐2016b:1頁)という疑問に導かれたものであるが、そもそも石棒が並置された位置には敷石はなかった可能性はないのだろうか。」(266.)

引用箇所は、「第5章 石棒祭祀の終焉と廃屋儀礼 第4節 その後の石棒研究をめぐって -石棒祭祀と柄鏡形(敷石)住居-」の部分にあるが、その多くは「緑川東問題2018(その3)」で論評した山本2017「柄鏡形(敷石)住居址研究をめぐる近年の動向について」から流用した文章であり、その中の加筆された箇所である。

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考古学・人類学とアイヌ民族 -ヒトと暮らしを探る- [研究集会]

考古学・人類学とアイヌ民族 -ヒトと暮らしを探る-

日時:2019年1月27日(日)10:00~15:00
場所:東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター東京 国際会議室
主催:日本人類学会
協賛:北海道アイヌ協会・日本考古学協会
後援:文部科学省(予定)

10:00-10:05 開会挨拶(篠田 謙一)
10:05-10:10 趣旨説明(近藤 修)
10:10-10:50 骨からわかるアイヌの暮らし(近藤 修)
10:50-11:30 古代ゲノムから見た東ユーラシア基層集団~アイヌ民族の位置を展望する(太田 博樹)
11:30-12:10 考古資料からのアイヌ文化の胎動 -厚真町の発掘事例-(乾 哲也)
13:10-13:50 アイヌ民族の酒とタバコ(関根 達人)
13:50-14:55 討論 コメンテーター(阿部 一司・佐藤 幸雄)、司会(石田 肇)
14:55-15:00 閉会挨拶(谷川 章雄)

アイヌの人々は、北海道を中心に日本列島北部周辺に暮らし、言語や習俗など文化の独自性を有する先住民族です。明治時代から人類学や考古学による研究が行われており、近年の遺伝子分析や大規模な発掘調査により新たな歴史像が見えてきました。本講演会では最新の人類学や考古学の研究成果を紹介するとともに、今後の研究のあり方について考えたいと思います。(案内チラシより)

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駒井 和愛(1905-1971) [学史]

「…いまやわが国が東亜考古学界にあって指導的立場にあることはとうていこれを否定することはできない。まことにわが国の東亜考古学界はきわめて順調な歩みを続けて来たものと言うべきであろう。」(駒井 和愛1938「寥たる原理的研究」『帝大新聞』、1977『中国都城・渤海研究』雄山閣:283-285所収)

「忌憚なく言えば、今までの日本は余りにも文化ということ、なかんずく学術について無関心でありすぎた。大げさに言えば世界の文化国のうちでわが国ほど、為政者も一般人も学問を尊重すべきことを知らないところは少ないと言ってよい。」(駒井 和愛1946「東亜考古学の将来」『ロゴス』第1巻 第1号、1977『中国都城・渤海研究』雄山閣:285-287. 殆ど同文が1948『日本古代と大陸文化』野村書店の「緒説」に流用されている)

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日本考古学協会編2018『日本考古学・最前線』 [全方位書評]

日本考古学協会編 2018 『日本考古学・最前線』雄山閣

 総説(谷川 章雄)
第1章 中の文化
 旧石器時代(佐野 勝宏)
 縄文時代(小林 謙一)
 弥生時代<西日本>(吉田 広)
 弥生時代<東日本>(石川 日出志)
 古墳時代<西日本>(辻田 淳一郎)
 古墳時代<東日本>(若狭 徹)
 古代<西日本>(高橋 照彦)
 古代<東日本>(眞保 昌弘)
 中・近世(堀内 秀樹)
 近・現代(櫻井 準也)
第2章 北の文化と南の文化
 北海道(高倉 純)
 南島・沖縄(宮城 弘樹)
第3章 外国の考古学
 中国(角道 亮介)
 朝鮮半島(井上 主税)
 北アジア(福田 正宏)
 東南アジア(田畑 幸嗣)
 アメリカ(鶴見 英成)
第4章 考古学と現代
 年代測定・食性分析・遺伝人類学(國木田 大)
 動植物・資源(工藤 雄一郎)
 保存科学(建石 徹)
 遺跡と社会(岡村 勝行)
 災害と考古学(渋谷 孝雄)

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