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日本旧石器学会 第17回大会 シンポジウム「旧石器研究の理論と方法論の新展開」 [研究集会]

日本旧石器学会 第17回大会 シンポジウム「旧石器研究の理論と方法論の新展開」

日時:2019年6月30日(日)9:00~15:30
場所:大正大学 巣鴨キャンパス 5号館 5階 551号室(豊島区西巣鴨)
主催:日本旧石器学会

「30日(日)に開催するシンポジウムのテーマは、「旧石器研究の理論と方法論の新展開」です。当学会がこのテーマをとりあげたシンポジウムを行うのは初めてです。講演者の皆様からは、考古学研究において理論と方法論がどのような役割をもち、どのような枠組みや視点を提供することができるのかを、理論的研究の動向や旧石器時代を中心とする実践的研究を通じて提示していただきます。続くパネルディスカッションでは、活発な議論が期待されます。」(主催者趣旨説明より)

1.考古資料から歴史構築へ(安斎 正人)
2.刃部磨製石斧の起源 -伝播か収斂進化か?-(鈴木 美保)
3.旧石器研究における接合の方法論的意義 -「砂川モデル」の教訓-(五十嵐 彰)
4.旧石器研究をめぐる理論動向の比較 -韓国と日本-(洪 恵媛)
5.ヨーロッパ旧石器時代洞窟壁画の解釈(五十嵐 ジャンヌ)
6.Practice without theory is blind (and theory without practice is empty)(中尾 央)
7.ポストプロセスからみた旧石器時代研究への提言(溝口 孝司)

「近年、考古学の理論研究に関わる著作集が立て続けに刊行されており(栗原編2018、阿子島・溝口監修2018など)、旧石器研究の理論と方法論についても再考すべき時期と考えられる。」(三好 元樹2019「シンポジウム「旧石器研究の理論と方法論の新展開」趣旨説明」『日本旧石器学会 第17回研究発表 シンポジウム予稿集』:55.)

本来ならば学問研究における理論と方法論は常にいつでもどこでも考えられなければならない事柄であり、ある時期に限って「再考すべき」とか「すべきでない」といったことではないのではないかと考えるのだが、それはさておき、ここでは『現代思想』46-13(青土社)と『ムカシのミライ』(勁草書房)が挙げられているが、やはり『理論考古学の実践』Ⅰ・Ⅱ(同成社)は欠かせないのではないか?
シンポジウムのトリを務める発表者は、この3点全てに関わっているという点に、日本考古学のある種の断面を見て取ることができよう。

「安斎正人氏には、日本の旧石器時代の理論研究を牽引してきた立場から、今後の理論研究の展望を示してもらう。鈴木美保氏と五十嵐彰氏には、日本でそれぞれの立場で進めてきた研究を紹介してもらう。洪 恵媛氏は韓国と日本で旧石器研究を、五十嵐ジャンヌ氏はフランスで洞窟壁画の研究を行ってきたことから、日本と異なる旧石器研究のあり方を紹介してもらう。中尾央氏は哲学を専門としつつ、考古資料を用いた研究を行う研究者として、溝口孝司氏は日本におけるポストプロセス考古学の第一人者として、日本の旧石器研究の可能性について述べてもらう。」(同:56.)

「それぞれの立場で進めてきた研究」というのがどのような意味内容なのか判然としないが、それも今回の発表で判然とするような気もしている。

「日本の刃部磨製石斧に関わるより詳細なパターンの研究によって、刃部磨製石斧が消滅するプロセスを説明するモデルの構築が可能かもしれない。」(鈴木 美保2019「刃部磨製石斧の起源 -伝播か収斂進化か?-」『予稿集』:61.)

もう何十年と当該事象の「詳細なパターンの研究」がなされてきたように思われるのだが、更により細かく研究していこうという表明なのだろうか。

「日本の旧石器研究では前半期の「局部磨製石斧」の用途が延々と議論されている。しかし「本質的な謎」はそうではないという。筆者(インゴルド)が批判する対象は「範型論」であり、さらにギリシャ哲学にさかのぼる「質料形相論」という考え方である(54.)。」(インゴルド2017『メイキング』)

中尾 央氏には『ムカシのミライ』では、なぜ「日本考古学」という表現が忌避されたのかといった点についてもお聞きしたいところである。それは中尾氏の発表題が「理論のない実践は盲目である」ではなく、"Practice without theory is blind"となっていることにもつながっているだろう。

はたして『現代思想』46-13(2018)で提出されたような諸課題、例えば「使用はヒト-<場>ー<もの>を結び付ける」(15.)とか、「<もの>を介した動作連鎖が伝達される」(19.)とか、「<もの>ーヒトー世界の新たなつながりを提出する」(30.)といったワクワクするような見通しや、考古学について「どれだけ可能性を拡張していくことができるか」(33.)といった企画者が期待されたような「活発な議論」となるだろうか?

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